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ふと気がついたら私はリトミックの仕事を10年続けていました。特に続けているのは保育園でのリトミックです。

子どもの集団と関わっていくリトミック、思い返せば試行錯誤の歴史があります。

最初は、自分がそれまで勉強してきた「リトミック」をどう形にするか?

次の壁は「どうすれば子ども達が集中できるのか?」という指導技術について。

その後は「いかに体系化した内容を作っていくか?」と自分の指導案をまとめていくこと。

この遍歴を、だいたい4〜5年かけていったら自分の「型」が出来上がり、ここ数年はだいぶ力を(良い意味)で抜いて活動を行ってこれました。

しかし、同時にここ数年で「子どもを教える立場」としての考え方が変わってもきていました。

それは、「いかに教えるか?」ではなく「いかに遊ばせるか?」というものでした。

ここ数年で「子ども観」は変わっているのに「型」はここ数年前のもの。これでは自分のやっていることに矛盾を感じてしまいます。

これはいよいよ自分のやっている仕事をアップデートする頃合いだろう、と本屋で手に取ったのがこちら「さあ、子どもたちの「未来」を話しませんか」という本。

リトミックに限ったことではなく、幼児期の子どもと関わってお仕事をされている方が知っておくべき「これからのこと」が書かれています。以下、書評です。

・指針改定で日本の教育が育成を目指すもの

この本は「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」から、2017年に改定された部分をポイントを絞って説明されている。

中でも私が興味を持ったポイントは「幼児教育」の部分だ。

保育園、幼稚園、こども園に共通した「幼児教育」が必要といった方針が定められている。

幼児教育と聞くと、人によっては「お勉強」チックなものを想像するかもしれない。

しかし、ここで求められるものは、それとは違う。

「学力」ではなく「問題を解決できる力」が目指されている。

・世界が「保育・幼児教育に」注目している理由

今後、人類がが直面する問題に「地球規模の環境問題」や「2045年問題」がある。

前者は人間の生活が発展してきたこと、後者は情報革命による人工知能の進化が理由にある。

何より問題なのは、「これらの問題がどう決着するのか誰もわからないこと」と言える。

何しろ人類が初めて直面する問題なので、誰も答えなんて知りようがない。

これら先の見えない問題にバッチリ直面する人達がバッチリ対応していけるようになるためには、どうすればよいのか。

20世紀は、知識集約・知識編重型の教育でした。(中略)でも、これから必要なのは、答えが見つかってない問いに対して、情報を集め、人と意見を交換しながら斬新な答えを出せる知性、そしてそれを上手にプレゼンし、協働できる能力だといわれています。 (さあ、子どもたちの「未来」を話しませんか p13~p14)

「答え」が決まっていて、導き出すという従来の方略が通用しないのかもしれない。

まだ誰も体験したことのない未曾有の問題を解決していくために「考えていく」力が必要だ。

今、世界で求められている「幼児教育」とは、このようなものが主流だという。

・これからは非認知能力が高い人が望まれる

日本ではこれまで学力重視で教育が行われてきた。

記憶力や思考力など「知性」といえるもので、これらは認知能力とされる。

認知能力と対をなすように非認知能力というものもある。

これは、情動や感情に関連する能力で、

  • やり抜こうとする忍耐力
  • 他者と相互的に対話し協力出来る社会性
  • 失敗したとしても「大丈夫」と気持ちをコントロールできる自信、楽観性

が要素としてある。

つまり、自分を受け入れて、相手を受け入れられる能力ということだろう。

アメリカのヘックマン博士による「ペリー・プリスクール・プロジェクト」という研究が今でも行われている。

これは、貧困家庭の3〜4歳児に対して2年間の幼児教育(遊びから非認知能力を伸ばすことを目指したもの)を行い、子ども達の生涯にわたってデータを追跡するというものである。

現在わかっている範囲でも、教育を受けたグループはそうでないグループと比べ大人になってからの就業率や年収などが高くなっていたという。

これを経済的に見ると、幼児期に1人に対して1ドル投資すると、成人してから6〜10ドル社会に還元される試算となっているというから驚きだ。

問題解決が出来る力、社会を上手に回せる力。
我々以降の世代が身につけていかなければならない事柄だと強く思う。

これからの幼児教育が必要というが、もちろん簡単なものではない。

特に日本に至っては「20世紀型教育」とも言える逆のやり方を行ってきたからだ。

新しいことをやるには現在直面している問題に対して人手も手間もかかる。

それなので、教育の担い手である女性の雇用に関する問題、貧困問題も重要なテーマとしてこの本では取り上げられている。

さいごに

子どもに「教える」という立場にある大人は、何かしらの目的をもっています。

それが勉強なのか、英語なのか、ピアノなのか、リトミックなのか。

何にせよ、それら知識技術をただ身につけるのではなく「どうつかうか?」といった能動的な面も同時に伝えていかなければいけないのでしょう。

教えている内容は違えど、「その子の未来のため」ということは共通しているのだと思います。

この本は、そういった「未来」の視点を持つよいきっかけになると思います。

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