11月11日から五日間、ドイツの音楽療法を実際に学んできました。IMG 2872
二日目は病院での音楽療法を見学しに行きました。ホテル最寄りの駅から電車で30分ほどの「Kiwittsmoor駅」で下車、病院側から送迎をして頂き、車でさらに数十分の場所にありました

Heinrich Sengelmann Krankenhaus

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まずは、病院についての説明を受けました。

 

その地域の中心となる病院で、9つの病棟からなり、それぞれ症状によって対応する病棟が異なるようで、それらは所謂「精神病棟」になります。ここの病院のコンセプトとして、閉鎖病棟は一つ、それは患者の状態を考慮し、患者を守るための段階で使われるのみだそうです。病院に圧迫感は全く感じられず、まるで質の良いホテルのようだった事が印象的です。

 

 

施設全体の見学をさせてもらいました。ここでは、様々な心理療法が行われています。
作業療法、理学療法、など日本でも聞かれるものですが、そのバリエーション(と呼んで良いのかわかりませんが)がとにかく豊富です。

 

 

学校の図工室を思い出させるような、机、ぶら下がったコンセント、壁に掛けられた道具(ただし部屋自体はとても綺麗で整えられている)。この部屋では木工が行われます。木工を通して「達成感」「夢中になる」「不安を乗り越える」といった事を目指すそうです。

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他に、絵画や園芸、ダンスなどがあり、それらはどれもアプローチは異なれど、作業を通じて患者の心に働きかけて行く心理療法になります。

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IMG 2892そして、その一つに音楽療法があります。

※病院、という性質上、内部の写真は割愛します。

 

 

音楽療法の部屋は、とても落ち着きのある空間、が第一印象です。間接照明の柔らかい明かり、暖色系のイス、木の棚に並べられた楽器。特別な空間であることは明らかです。

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ここで、実際の症例を元に音楽療法についての説明を療法士から受けました。

 

心理療法として音楽療法

まず、大前提として「音楽療法」だからといって「音楽」を元に進める訳ではありません(音で相手を癒す、などはお門違い)。心理学が中心です。

 

 

セラピストは、マニュアルを元にクライエントへセラピーを行う訳ではではありません。精神療法だったり、行動療法だったりと複数のアプローチをフレキシブルに対応させていきます。その、アプローチに「音楽」を使用します。ただし、ここでの音楽は譜面などはなく「即興」のものです。

 

 

アセスメントを経て、セラピーの一回目を迎えると、セラピストは「まずは試してみてください」と楽器に自由に触ることを促し、不安を下げ即興へ誘います。

 

 

この段階で、セラピストはたくさんの判断材料を持ってクライエントと接していきます。入院に至るまでといった、その人の背景や面談での様子、実際にセッションが始まるまでの様子など「その人」を見ていきます。

 

 

楽器をシンボルとして見ていくこともある、といった事がとても特徴的でした。
ある、症例を元に進められたお話では、クライエントが自分と特定の相手との人間関係を楽器に置き換えて表現させてみる、というものでした。

 

 

自分にとって絶対的な思いの相手は大きな打楽器、それに対する自分は低い位置に置かれたギター。間には、「問題」を象徴するように打楽器が置かれ、それでも「真の信頼もある」とカリンバも添えられ、楽しい思い出などは部屋の端に配置されていました。

 

 

このように、楽器をシンボルとして扱ったり、実際に音を鳴らしてみたり、「音楽」を決まりきった「枠」で扱うのではなく「自由に」使用していきます。セラピストは、その人が表した音や動作、物や関わりからの反応などを言葉にしてクライエントと関わります。

 

 

ドイツでの音楽療法が、他と決定的に異なるのは、それが独立した療法ではなく、あくまで心理療法の一つ、なことだと思います。「即興演奏」が行われることが目立った特徴に見えますが、それは「相手と対話する手段の一つ」であって、音が音楽が深層心理に結び繋がる「心」の見ていき方が重要な部分なのだと思います。

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羊も見守る落ち着いた病院を後にしたのは午後三時。この日はこれでホテルに戻りました。