まずは「音階」についてご説明します。白鍵だけでも様々な音階が弾けて、それぞれが特徴のある雰囲気を持っています。
リトミックの活動では、イメージを表現したり子どもたちに伝えたりするために音楽の「雰囲気」を変えていくことが大切です。同じキー(例えばCメジャー=ハ長調)で30分間活動するとなると、子どもたちはすぐに飽きてしまうでしょう。表現豊かな活動にしていくためにも、音階を知り、使いこなせるようになりましょう。
まずは、【1-1】を弾いてみましょう。「ド」の音をスタートにして順に右へ弾いていきます。
「ドレミファソラシド」と弾いています。これは、誰もが聴いたことのある、とても馴染みのある音のはずです。「ドレミファソラシド」と並んだこの音たちは、譜面で見てみると音が積み上がってまるで階段のように見えます。
「ド」から始まって、一つずつ白鍵を弾いていき、上の「ド」まで弾けばドレミファソラシドという音の階段になります。このように、あるルールで決められた間隔によって並べられた音たちを「音階」といいます。まずは、この音階を「①の音階」とします)。
次に、【1-2】を弾いてみます。
先程とは違った雰囲気に聴こえたり、感じたりしたはずです。「①の音階」と似たような音の並びですが、実はこれも決められた間隔で並べられた、あるひとつの「音階」なのです。
「①の音階」とはスタート地点が異なり「レ」の音から始まっています。これを「②の音階」とします。「①の音階」はスタートが「ド」から始まり、「②の音階」は「レ」か始まっているのでこの2つの音階は別物といえます。スタート地点から白鍵を一つずつ弾いていくというルールは同じでも、スタート地点(とゴール地点)の音が違うだけで二つの音階は全く違う雰囲気を持っているのが分かるはずです。
どちらも使っている材料は「ドレミファソラシド」の白鍵のみです。つまりこのように白鍵だけでも音階のスタート(とゴール)の音を変えるだけで曲調や雰囲気を変えていく事ができるのです。
ここまでをまとめると、以下の3点になります。
- ドレミファソラシド、と白鍵を順番に弾いていくことで音階になる
- スタートとゴールを変えると別の音階になる→例:レミファソラシドレ
- 各音階はそれぞれ異なる曲調や雰囲気を持っている
実は、これは教会旋法またはモードと呼ばれるもので、音楽の中で使われている一つの手法です。とはいえ、そこを掘り下げると説明が複雑になるので上記の3点のみ「へーそうなんだ」と押さえておいてもらえれば十分です。