• Skip to primary navigation
  • Skip to main content

リトミック指導案-hibikina

リトミック指導案の専門サイト

  • Home
  • リトミックを学ぶ
  • “はじめての人”のための「リトミックを教える方法」
  • リトミック指導案、指導法
  • リトミックでピアノを弾く
  • 親子リトミックの方法

インタビュー

デンマークで北欧の教育を聞いたVol.3 幸せへの気付き、軸を持つ

2018年7月27日 by 藤原 大輔

デンマークでのインタビュー記事、前回は「学び」というテーマになりました。

http://hibikina.com/?p=3842

今回は最後のインタビューです。コペンハーゲン中央駅から数駅はなれたAlbertslund駅近くにある特別支援学校を訪問しました。

【mormormorさんのプロフィール】

“mor(モア)”とは、デンマーク語で”お母さん”のこと。 “mormormor(モアモアモア)”は、しあわせな国デンマークの教育現場で働く”mor”、 日本人お母さん3人のユニットです。

 

・Twitter

・Facebook

タンブル有田妙(ありた たえ)さん

コペンハーゲン近郊、緑豊かなアルバスルンド市にある、知的障害をもつ自閉症児のための 特別支援学校に勤務。同校は”TEACCH”(自閉症スペクトグラム障害の人へのトータルアプ ローチ)の理念に基づいた教育が行われている。現在中学部の担任。子どもを育てることは、信頼してどう手放していくかを考える事とも思い、思春期真っ盛りの生徒達と向き合う日々。
趣味は陶芸。好きな動物は猫。無類の食いしん坊。2年前に離婚。子育ては、元夫と一緒に継続中!13歳と11歳のボーイズと、楽しくも激しい、愛とバトルの日々を送る。神奈川県横浜市出身。

幸せへの気付き、軸を持つということ

ーーー 日本の教育って学力重視からきたところから、「いやいやこれからはそうじゃない」と人間性重視の方向へシフトしていってます。

それはもう学校だけではなく保育園や幼稚園から一貫して繋がって目指せるように法が改正されていってます。そうすると、次の教育のスタンダードを目指すために「日本の教育は時代遅れ」から、例えば「これからは北欧のやり方が正しいんだ!」となるかもしれません。

とはいえ、北欧は北欧で苦労や問題もあるだろうし、こっちはまだ北欧のいいところしか見てないから、安易に「よそは素晴らしい!」となるのは盲目的になっているのでは?そういうのが固 定概念になっているのではないか?と思います。

なので、日本の教育が間違っている、とかではなく単に「それはそれ」ということ。なんにせよ、直接見に行って、話を聞いて初めて自分はフラットに物事を考えられるのでは?と思いました。

たえさん:ちなみにどういうところが「北欧はすごい」ってなるのでしょう?

ーーー 福祉国家というところ、ですね。

たえさん:ゆりかごから墓場まで。

ーーー そう、教育の内容や方向性、つまり子ども中心に進めていく、そういうところですね。「やらせる」というところが少ないように思えます

たえさん:うんうん。それで日本は「ゆとり教育」っていのが始まって、それで失敗したとか色ん な方面から叩かれて…

ーーー あれも「失敗した」と思われてるのは「分数の計算もできなくなってしまった」というような 、学問的な部分での評価で「これは失敗だ」と言われてるけど、そういうところではない部分を伸ばすための「ゆとり教育」だったんじゃないの?というか。

たえさん:そうそう、じゃあ他に伸びたところがあったのかは、評価したのでしょうか。表面的に学校 の休みを増やすとかではなく、「ゆとり」の時間を作ることはひとつの方法でしかないわけで、何を目的にしているか?ということを忘れがちになってしまう、というのはあるかもしれないですね。

ーーー 日本って徹底的な縦社会じゃないですか。年功序列とか。そうすると、世代が変わらない と教育観のようなものは変わらないのでは?と思います。

たえさん:ただ、世代が変わっても必ず同じような人は出てくると思います。 あと例えば世代交代を待つといっても、結局「今の世代はだめだ」って言ってるだけのことになっちゃう心配もあります。やっぱり自分の親、その親の世代から学ぶべきことってすごいたくさんあります。「うちの上司はダメだ」って言ってる時点でもう、変える気ないのかな?って。

ーーー なるほど、確かにそれだと思考停止になっちゃってますね。

たえさん:そうなんです。私が最近思うのは、たしかにデンマークは社会福祉国家で、すごく手厚いシステムもあるのは事実です。

でも、ただ単純に日本もシステムを導入すればいいのかというと違うと思う。政治家になったり、国に食い込んで行ってそういうところを目指したい人はどんどん勉強して、やっていくべきだと思うけど、私たち現場の人間は、もっと個人のレベルで、世界とつながっていくことが大事なのではないか、今、自分たちが正しいと思い込んでいる「感覚」を変化させていかなければいけないのではないだろうかということを、日本の人と一緒に考えたくってmormormorの活動を始めました。

日本では、今、色んなところで、「幸せな北欧の様子(女性の社会進出、労働時間短い、残業なし、etc)」を語る講演会やレポートがありますが(私達のお話会も含めて)、「デンマークってすごい国なん ですね!でも、日本では難しいです。」という感想をきくと、すごくもったいないと感じます。そうではなく、“私”が「どのように世界を見ているのか?」といった自分自身の視点と向き合う。

そして、物事は、「良い・悪い」という判断ではなく、もっとたくさんの方向から見れることに気づいて、自分の感覚を揺らしていって欲しい。そうやって、世界をどんどん広げていってほしい。

ーーー いってみれば、「経験」みたいなものですよね。直接その場に行かなくても当事者から話 を聞けば、それは経験になるじゃないですか。そこでやっと色んな視点に気がつけますよね。

たえさん:日本人の多くは「正しい・正しくない」という絶対的モラルのようなものが自分たちの中にあって、 それが形式的に教えられてきているように思います。それが悪いわけではないのですが、「正解 はひとつだけじゃないよ」って。

ーーー 日本だと、そういう部分はもう文化というか「システム」のようになっていて、そこから 抜け出すのは難しいのでは?と思います。全体の空気を大切にする分、個人がないがしろになりがち、というか。僕は今回デンマークに来てmormormorの3人とお話ししていて、とてもみなさん「個人」がしっかりしている、という印象を受けました。

たえさん:「自分軸」というものでしょうか??

ーーー はい、それです。ちなみにたえさんは日本にいた時から、そのような軸のある人間だっ たんですか?

たえさん:私!?とんでもないです。「豆腐メンタル」だって、友達からも言われるし、自分でも言ってます(笑)。

ーーー (笑)

たえさん:なにかあると、もう、すぐ泣いちゃうよ、みたいな感じだから、ほんと自尊心が低くて、みんなから笑われます。(今も)そんな変わるものではないですよ!

ーーー でも、考え方として「こういうの(色んな視点をもつ)もあるんだ」ということに気がつけた、という部分はこちらに来てありましたよね?

たえさん:そう、こちらにきて、日本で正しいと思っている価値観が崩されて、「あ、これはありなんだ。わたしもわたしでよかったんだ」という“ゆるし”を感じました。

それは、大きなカルチャーショックでした。ただ、それは、異国人としてこの国に来て、色んな価値観に揉まれて過ごしたことによるものなので、デンマークが、パラダイスかというと、そういうことではありません。「幸せな国・デンマーク」に日本人が全員引越 してきたら、みんな同じように幸せになれますか?というと、NOです。

日本人とデンマーク人では価値観がそもそも違う。日本の価値観のまま、この国に来て も、ちっとも幸せは感じられないかもしれない。 Amazonなんてないですよ!?(笑)当日配達なんてないし、再配達なんてしたら¥6000くら いとられますよ(笑)。がん患者だって、手術を2ヶ月待たされるということもあります。

1人ひとりが今この瞬間に幸せを感じられるか?というところに着目するんだとしたら、 どんな国にいようと、どんな状況だろうと、自分がそこで幸せを感じられ る力を持っているかどうかっていうところじゃないかと思います。その力を育てていく、心の教育(人間教育)を、デンマークでは重視していると思います。

ーーー 現場では個人へのフォーカスを重視している、ということでしょうか。

たえさん:教育現場っていうと学校ですよね。もちろん幼稚園、保育園もだし高校、大学とあり ます。でも、実際の教育現場って家庭だったり自分が関わっている職場だったり全てですよ。

自分がいるその瞬間ひとつ一つの状況、「いい・わるい」の判断もなく自分にフラットに入ってくる 全てのことが教育の要素だと思います。 ワールドハピネスレポート、その国の幸福度を計るレポートが出た時に、デンマークやノルウェー、 スウェーデンあたりの北欧の国がトップを占めていますが日本は低いランクに留まっています。

それと同時に、日本人の子は、特にティーンエイジャーの子達は孤独を感じているというレベルが 高いというユニセフのレポートを読んだことがあります。孤独を感じてる状態ってどういうことなんだ ろう?って考えた時、自分と世界とのつながりを絶っちゃってるってことなんだろうと思います。

それってなんでかといえば、自分を大事に思わなかったら世界って別に繋がってなくてもいいことになっちゃうからなんでしょう。自分は世界にとって大事だと思えば、どんどんつながっていかなければいけないわけですから。

セルフスティームが育ちきっていない、私はいてもいなくても同じと感じてしまう。そういうのはデンマークでは 少ないと思います。自分ありき!みたいな。

ーーー そこが前提としてあるから、北欧の教育観が成り立っているのでしょうね。

たえさん:結構、いいかげんです(笑)。子どもに任せる!

ーーー でも、そうですよね。「やらせてる」っていう雰囲気は少ないと思いました。

たえさん:でも、「まかせる」も「やらせる」もどっちも愛情だとは思う。日本のお母さんたちは愛情がないから「やらせてる」のではなくて、愛情が有り余りすぎて、お膳立てしたくなっちゃってるだけなのかもしれない。

ーーー なるほど。

たえさん:だから、「良い・悪い」は別にしてっていうことなんです。それが「悪い」って言っちゃったらそれで止まってしまう。悪いのではないんですよ、「愛」は「愛」なんだから。

でも、違う「やり方」もありますよ、っていう話。こんなやり方をすると、こういうふうなことも起きて来ますよ、という。だから、今の価値観に縛られて、「こうやったらダメなのではないか?」という罪悪感を減らしていくことが大事なのかな、と思います。

ーーー 罪悪感を減らす。

たえさん:そう、「これをやったらいけないんじゃなか?」とか「遅刻したら自分はすごい悪い」 とか。

ーーー それって評価の基準を外に求めてるってことですよね?周りや他人が嫌な思いをしないようにモラルを徹底しているということですかね。
でも一周回って、それは自分のためにやっていることだとは思うんですけどね。こう、「(そのことで) 自分が嫌われたらどうしよう」と面倒を回避するような。

でも、外に評価を委ねて自分自身は納得をしてないと、いつまでたっても報われることがないから、それが罪悪感につながるのかもし れないですね。

たえさん:反応をしてるんですよね。常にreactなんです。actではない。相手の行動やレスポンスにいちいち反応するから、そうなってしまう。

もちろん無反応でいるということではなくて、なにかactionを起こすことは大 事です。ただ、「相手がこうだから」ということに対する反応で動いていくのではなく、それはそれとしてそのままを受け止める。それに対しての判断をしない。

その状態におかれた自分がどう動くかを、こうありたいと思う自分自身に問いかけて、決めていく。「act not react」です。その練習を、普段からしていくことが一つ、大事なことだと思っています。

ーーー そう、だからmormormorのみなさんとお話していて思うのは、個人の人間力、とかそう いう部分への気づきをもっと広めたい、ということを感じるんですよ。でも【デンマークのmormormorさん】となると講演とかではそういった部分ではなく、もっと「福祉の国!」といったお話を求められたりしてジレンマがあるのではないですか?

たえさん:割と自由にやらせてもらってます。でも、お客さんの層によっては教育の話の割合を増やすか、社会全体の話を、というご要望を頂くこともあるので、どこにフォーカスをあてるかは考えていきます。もちろん、内容によってはお断りさせてもらうこともあるかもしれませんが。

ーーー やはり「軸」はあるのですね(笑)。毎年講演をされてますが、去年(2017年)と今年 (2018年)で考え方やテーマが変わってきたなんてことはありますか?

たえさん:ん~、というより去年のところからもっと膨らませてみよう、ということがあります。 たとえば、去年は「人生の舵は自分で取る」という話をしたのですが、今回はもっと深くお話しするつもりです。

たえさん:私たちは一緒に育っていきたいし、考えていきたい。だから、「デンマークはここが 素晴らしい。日本はダメだ。」という目線から話したいことは一切ないです。私たちも日本人として戸惑うことはいっぱいあるんです。

ーーー 今でも?

たえさん:はい、あります。それで、日本人(今までの自分)の感覚や視点だけで、物事を見てると、けっこうしんどいことが多い。それで、違う視 点や考え方を自分の中に増やすことで、同じ現象が起きているのに、ものすごい幸せにそれを受け止めることも 出来ちゃうんだ、ということに気がついちゃった(笑)

ーーー 「良い・悪い」の判断ではなく、自分の中で視点を増やして対応するということですね。 たえさん:そう、だからデンマークがよくて日本は悪い、っていうのも一切ないです。

mormormorさんとお話して気がついたこと

当初デンマークに来た理由として「北欧の実際の教育ってどんなもの?」という疑問からはじまりました。

環境が違うのか、なにか特別な方法論があるのか。でも、mormormorさんとお話を進めるうちに「どんなふうに生きる?」といった自分を見つめていく機会になっていることに気が付きました。

まず「自分」を大切にしているのです。

そして、自分がどうしたいかを「言える」ことが社会として当たり前になっている。

こうした土台があっての「北欧の教育」なのでしょう。

とはいえ、これは「こういうものもある」という一つの事実にしかすぎません。

これからの教育を考えるには、自動的に「よい・悪い」と評価をするのではなく、自分はどう思っているのかと思考に気がつけることが大事なのだと思います。

それが必要とされる非認知能力というものなのではないでしょうか?

http://hibikina.com/?p=3726

Filed Under: インタビュー

デンマークで北欧の教育を聞いたVol.2 学びの目的を考える

2018年7月11日 by 藤原 大輔

前回は、デンマークの保育園事情をインタビューしました。

デンマークで北欧の教育を聞いたVol.1 保育で大切にしている事とは?

インタビューの翌日、私はコペンハーゲン中央駅から電車に乗って30分ほどのespegærde駅へ。

mormormorの一人海老原さんが勤務されている特別支援学校を見学させていただきました。その時に伺った「学ぶこと」への意識について興味深いお話をまとめました。

【mormormorさんのプロフィール】

“mor(モア)”とは、デンマーク語で”お母さん”のこと。 “mormormor(モアモアモア)”は、しあわせな国デンマークの教育現場で働く”mor”、 日本人お母さん3人のユニットです。

ピーダーセン海老原さやか(えびはら さやか)さん

コペンハーゲンから40Km、美しい港町エスパゲーアにある公立学校併設の特別支援学校に勤務。自閉症、知的障害、重度重複心身障害の生徒約70名が在籍。
コミュニケーション、感覚統合、身体的トレーニングを柱とした教育を通し、現在と少し先と将来を見据え、生徒が豊かな人生を送れるよう、日々実践を重ねている。重度重複心身障害児クラスの担任。美術も担当。
コックのパートナーとの共通の趣味は「食」。作るのも食べるのも大好き。10歳のサッカー少年と電車の運転手を夢見る6歳の息子がいる。東京都板橋区出身。

北欧から見た日本ってどんなもの??

ーーー 日本の教育観が北欧を目指しているような方向へシフトしてきていますが、逆に北欧、デンマークから見て日本の教育の優れていると思われる点はありますか?

さやかさん:例えば規律がある、とか。集団で何かを行うことに慣れていますよね。「やらなくていい」という選択肢はないから(弱いから)、歌を歌うならみんなで歌う。

ーーー 確かに日本では普段の保育や学校生活だったり行事など集団で活動することが多いですよね。

さやかさん:集団活動の中で「私は歌いたくない」なんて子は小さいうちでは特に少ないでしょう?

ーーー そうかも…しれないですね。では、「みんな一斉に」といったルールというか雰囲気みたいなものはどう思われますか??

さやかさん:うん、そういう価値観の事は私たちmormormorでも話すんだけど、「いい大学に行く」「いい会社に入る」といったものが良い価値観ではなくなってきているでしょ?大学には多くの人が入れるようになったり、大きい会社は無くなったり。価値観は変わってきてて、震災があって家族との時間がどれだけ大事かという話にもなったりしましたよね。そういう日本人の価値観が大きくグルッと変わってきている時だと思います。

さやかさん:それまでの価値観を否定するわけではないけど、新しいところへも気がつかなければいけない。また、子どもの不登校だったり自殺だったり、子どもが幸せに感じているということが極端に少なくなってきているといえるじゃない?それって、やってきたことが上手くいってなかったからそういう結果になっているんだよね。

ーーー だから日本の教育も方向性が変わってきた、ということですよね。

日本人とデンマーク人は考え方が違う??

ーーー デンマーク人と接していて日本人と違う部分って何か感じますか?

さやかさん:日本の体育の時間のyoutubeを見る機会がありました。すると、動画の中ではみんな整列して体育座りをしている。そういえば、体育座りってなんでだろう?と私も気になって調べたら、「場所をとらずに集まれる」という理由があるそうです。人口が多く狭い日本ならではのアイデアですよね。

となると、デンマークは人口も少ない(国全体の人数がが東京都以下)、地震もない。それなのでまあ、楽観的になるのかもしれませんね。

ーーー やっぱり気質も日本と異なってきますよね。先日はなえさんともお話をしていて話題になりました。

さやかさん:気質も違うし、文化も人数も違いますしね。

ーーー そうなると日本人に北欧の教育を知ってもらうには、そういった根っこの部分も理解してもらう必要がありますよね。

さやかさん:まあでも、それは個人個人が自分から求めないと入っていかないよね。いくら話をしたって、その人が聞く体勢というか「知りたい」って思わないとそれは無意味だから。もっと言えば、「学ぶ」ということに私たちはどうやって接してきたか?ということ。

ーーーその辺り、学力重視でやってきた日本人に必要なお話ではないかと。

さやかさん:そうそう。私、受験生の時に「勉強する」ということは親を喜ばせるとか、いい点を取るものとか思っていた時代があったんだけど…

ーーー 評価基準が自分ではなく外に求めている、という。

さやかさん:そうそうそう。でも、大人になってから留学して勉強をしたし、こっち(デンマーク)に住んでからも勉強をしたのって「自分がやりたいから」やるんだよね。そういう学びってすごい身に染みるし入っていく。

ーーー 過去の受験生のころはどうだったんですか?

さやかさん:全然覚えていない(笑)なんかみんなが行くから私も行く、みたいな。

ーーー そのあたり、デンマーク人はどのような考えなのでしょう?

さやかさん:全員が大学へ行くことが大切とは思っていないし、あなたがやりたい仕事をすればいい。仕事にあった教育はあるし、うまくいかなかったら次を考えればいい。「学び」ということが人生に必要なものを身につけるためのものだって考え方ですかね。で、やりたくないならやらなくてもいい、と。

ーーー 学びに対する姿勢や考え方が明確ということでしょうか。

さやかさん:デンマークの人ってすごく自分たちのことをわかっていて、例えばデンマークってすごい小さい国でお金もないんです。自然資源も少ない。そして、周りの国は反対に大きくてお金も持っている。それなので、デンマークは今後10年20年をどうやって生きていくかってことを考えています。

「イノベーション」ということがデンマークの学校ではよく言われています。クリエイティビティのさらに上をいく人材を作らないと世界での競争に勝てない。一つの新しい価値観「アイデア」を作っていく、ということを大事に考えられていて、それに伴った教育がなされています。言語がいくつも出来るとか、そういうのはもう当たり前なのです。

ーーー 子どもがそういった先を見据えていけるような教育がなされているのですね。それは最近、目指されてきたものなのですか?

さやかさん:いえ、昔からだと思います。でも最近の方が目的をより明確にしてきていると思います。先生が一方的に教えるのではなく、例えばプロジェクトみたいにして子どもたちの興味をひくとか。先生がこう、黒板に立って教えるなんてどれだけ古いか?そういったイメージです。

ーーー その国ならではの事情や経緯があるから生まれた一つの「方法」ということですよね。

さやかさん:昔、見学に行ったデンマークの幼稚園でベテランの保育士さんが「転んだりケガさせたりっていうのも私たちの仕事」って言ってたんです。たしかに、それがあって成長していくんですよね。でも、日本ではそういうわけにはいかないですよね。なので、もしいくらレッジョ・エミリアがいい!といってもそれを受け入れる土壌がないと日本では難しいですよね。

ーーー たしかに形だけ取り入れても難しいでしょうね。もし、日本のこれからの教育を変えていくとしたら必要なことは何だと思いますか?

さやかさん:誰かが外から教える、というよりも、現場にいる人達の意識を変える、ということをしなければいけない。こう、底上げといいますか。時代が変わっているし、考え方が変わっていかないと、将来の子どもたちも変わっていかないと思います。

理念がわかれば「何をすればよいか」が分かる。なぜならそれって「自分で考えること」ができるってことだから。

子どもの教育もそうだけど、私たち大人への教育の仕方というのも必要です。そういったことも関わってくるから現場の意識を変えることは一筋縄ではいきません。

私達mormormorができることは、一つの考えとしてそれを伝えていくことなんだと思います。

世界一しあわせな国の教育のおはなし  ~デンマーク人はなぜ世界一しあわせ?ランキングではわからない、しあわせの指標~

mormormorさんのトークイベントが7月にあるようです。おすすめです!

・イベントページ

・Twitter

・Facebook

Filed Under: インタビュー

デンマークで北欧の教育を聞いたVol.1 保育で大切にしている事とは?

2018年7月4日 by 藤原 大輔

最近、自分の活動について思案していたところ「北欧の教育」というところに強い興味が出てきていました。

現在、日本の教育も「21世紀型教育」とでもいうような従来とは異なった考え方、「北欧型」にシフトしていっています(2020年には小学校の学習指導要領が大きく改定予定)。

では、そんな次世代の教育の解答とも言えそうな「北欧の教育」とは実際のところどうなのでしょうか?

じつは私たちは北欧について本やネット等で知っていること以外に、もっと重要な事柄を理解していないのでは?

そう思い、今回デンマークで保育や教育に携わっている日本人女性3人組「mormormor」さんにお話を聞いてきました。

【mormormorさんのプロフィール】

“mor(モア)”とは、デンマーク語で”お母さん”のこと。 “mormormor(モアモアモア)”は、しあわせな国デンマークの教育現場で働く”mor”、 日本人お母さん3人のユニットです。

デンマーク到着、初日はデンマークの保育園で保育士をされているムンクイエンセン宮腰花絵(みやこし はなえ)さんのご自宅にてお話を伺いました。

ムンクイエンセン宮腰花絵(みやこし はなえ)さん

伝統とモダンが融合された美しい街、コペンハーゲン市にある公立保育園に勤務。同園はイタリアのレッジョエミリア教育にインスピレーションを受け、子供たちそれぞれの個性や意思に寄り添い、学びへの探求を尊重した保育を実践している。
また、描画を中心とした造形表現活動にも積極的に取り組んでいる。現在8か月から2歳半までの14人のクラス担任。
寝ても覚めてもコロコロコミックな10歳とダンスに夢中な5歳の息子たち、特技が料理と整理整頓な夫との4人暮らし。たまの息抜き方法は夫婦でカフェ巡り。埼玉県所沢市出身。

デンマークの保育園事情

ーーー 今回、私が一番お聞きしたかったのはレッジョ・エミリアについてです。はなえさんの園ではレッジョ・エミリアの実践をされているんですよね?

はなえさん:はい、私達の園はレッジョ・エミリアのインスピレーションを受けて実践をしている園です。公立の園なのですが、現園長と主任、副主任が立ち上げのときにレッジョ・エミリアを行っていくことを始め、市に認められ今に至ります。

ーーー デンマークの園は、どこもレッジョ・エミリアを実践しているのですか?

はなえさん:いえ、そういうわけではありません。私達の市だと2〜3つの園ですね。コペンハーゲン市だともっと多いかもしれません。

ーーー 主流、というわけではない?

はなえさん:ないですね!恐らく知らない人の方が多いかもしれないです。保護者も(レッジョ・エミリアを)知ってて子どもを園に入れてるかというと、そうでもなかったりします。イタリア人の保護者もいるのですが、レッジョ・エミリアを知らなかったようです。

ーーー (笑) ということはイタリア本国でさえも、認知されているわけではないのですね。

はなえさん:レッジョ・エミリア市以外の出身の人なんかだと、認知度は低い印象ですね。

ーーー レッジョ・エミリアの理念である「子どもの自主性を大切にする」というのは実際どのような活動になるのでしょうか?子ども達が「やってみたく」なるように仕向けていく、というか。

はなえさん:そう、子ども達の扉を開けていってあげなければいけない!例えばこの写真の子(スライドに映る2歳の子)はある時シナモンの匂いを嗅いでいて、「いいにおい?」と聞いたら「クリスマスのにおいがする!(デンマークではクリスマスの時期にスパイスを入れたホットワインがある)」と答えました。そこから、【クリスマスの匂いの絵を描いてみようか?】というように子どもから出た表現から活動を始めたり広げたりしていきます。

ーーー その活動というのは、その子「個人」に行っているのですよね?

はなえさん:私達の園は小さい園なので、そこまで人数がいないのですが、例えば13人いたら年齢別で4人位のグループにわけます。ペタゴー(保育士)はそのグループの子一人ひとりに対応していくことになります。その子一人から生まれた活動をグループで行うこともあれば、そうでもなかったり。外に遊びに行きたいという子は、その時間だけ別グループに移ったりもします。

ーーー グループ単位での活動がメインではあるけど、その子がやりたいことをしていけるようフレキシブルに対応している、ということですね。

日本とデンマークの保育観の違いはある?


ーーー 保護者との関係はどうですか?というのも、日本ってどちらかというと保育園は「サービス業」のようなイメージがあると思うんです。それなので、子どもを預けている保護者は「お客さま」として対応しなければいけないような感じがあります。

はなえさん:そうですね、私もつい「サービス業」のように、というか「(保護者に)よく見せなければいけない」とか考えてしまいがちだけど、わりと対等だったりします。

はなえさん:親の意識としては、「子どもが毎日楽しければ十分」といった感じでしょうか。もちろん、それはこちら側がきちんと園で行っていることをしっかりドキュメンテーション(後述)などで伝えていってるから、親も「ちゃんと見てくれている」と信頼してくれているのだと思います。

ーーー では、「危険」への意識はどうですか?というのも、私の実体験(保育士として)からなのですが、サービス業である感覚が故にどうしても子どもに「怪我をさせないように!」過敏になってしまう気がするのです。つまり何が言いたいかというと、一言目には「あぶない!」と言って子どもをとりあえず制止させるということがあるのですが、

はなえさん:そうなんです!

ーーー そのあたりはデンマークだとどうですか?

はなえさん:もちろん、やってはいけないことや本当に危ないことに対しては言います。でも、私もやっぱりそういう日本人的なところがあります。

はなえさん:こういうことがありました。ある時、キッチンの遊具を買ったんです。それは、お鍋をかけられたり、オーブンがあるようなものです。で、その遊具の角がちょうどハイハイから立ち上がった頭の位置にあるんです。なので、私は角にガードを付けたんです。

ーーー よく百均とかでも売っている、角部分をスポンジ状のもので覆うやつですね。

はなえさん:はい。でも、他の先生は「つけるな」と。あと、オーブン部分が引き戸のようになっているのですが、買った一日目に指をはさんだ子がいたんです。そこで戸が全部閉まりきらないように物をかませたのですが、「そんなことどうしてするんだ?」と。

ーーー 日本だったら当たり前のことなのに!

はなえさん:でも、それは「そんなことをして子どもはいつ学ぶんだ?」ということなんです。

ーーー たしかに、何でも止めてしまっては子どもの「学び」の機会を奪っている、とも言えますよね。それはレッジョ・エミリアうんぬんではなく、デンマーク人の気質なのですかね?

はなえさん:うーん、そうかもしれないです。園の中でケガはもちろんあります、それでも大したケガはないんです。親も「どうしたんですか!?」となったりしますが、わりとおおらかです。同僚なんかも「それは転んだのよ」とそのままを話します。日本みたいに「すみませんちゃんと見ていなくて…」とはならないですね。

子どもへの声のかけかたの違い

※1〜2歳のグループ。カタツムリがテーマの活動中スライドを見る。実物を紙の上にのせて描いている子も!

ーーー  紙の上にカタツムリを直のせで描いてますね(笑)自分だったら「やめなさい!」と止めてしまいそう。

はなえさん:食べようとする子もいたので危険だったんだけど(笑)

ーーー でも、こういうのも先生の視点がまず違うのでしょうね。「やめて!」の前に子どもがやろうとしていることをちゃんと見ている。こっちが思っていることを「やらせようと」しているわけではない。

はなえさん:そうです。「あっ!!」とは思うんだけど、その気持は堪えるんです!そこで否定的な言葉を発すると子どもはすごい敏感に察知する。で、もう描かなくなったり。だから、こちらがして欲しくないことをした時の言葉のかけ方にはとても気を配っています。

ーーー そういうのって例えばはなえさんが日本人だから、とかはありますかね?もし、デンマーク人だったら同じ場面でも言葉のかけ方に違いがあったりとか。

はなえさん:カタツムリを口に入れちゃうとかはもちろん注意するけど、「ダメだよ」とかは言わないかもしれませんね。こう、サッとさりげなく止めるとか。

はなえさん:あと、日本だと「すごいね〜!」とか「じょうず〜!」って褒めたりするじゃない?でもデンマーク人って、そういうことはあまり言わない。例えば、4人いる中で一人の子を「上手だね!」と褒めたとする。そうすると、周りの子達は「じゃあ私は上手ではない」と傷つく子もいるかもしれない、競争心や闘争心が生まれる子もいるかもしれない。そういう他人との図式が成り立つようなことは避けているんです。

ーーー というのは、まったく「褒めない」というわけではないのですよね?例えばそのグループだったら、全体を考慮した上で競わせないように声掛けをしているとか。

はなえさん:そうそう。競わせることでやる気や自信をつけさせるということは、ある子には合うかもしれないけどある子には合わないかもしれない。という考え方ですね。なので、デンマークでは「ヨーイドン」とか「通知書」とかはないんです。

はなえさん:もちろん個人を褒めることもありますよ。子どもの描いた絵を見て「この丸い形がかけてるね、カタツムリに似ているね」とか。

ーーー 手放しで称賛するのではなく、事実を認める、といったことでしょうかね。

はなえさん:「ヤンテローの法則」ってご存知ですか?それは「自分は人よりできると思ってはいけない」とか。それがデンマーク人の基質になっているって言われてます。

ドキュメンテーションは大人も子どももみんなで共有するためにある!


ーーー (スライドを見ながら)子ども達が絵を描いたり遊んだりしている写真がたくさんありますが、こういう写真や動画などをまとめて可視化するドキュメンテーションというのは日常的に記録をしていくものなんですよね?

はなえさん:はい、毎日おこなっています。

ーーー ドキュメンテーションというものは単に記録ではなく、それ自体をもって保護者に見てもらったり、何より子ども達と「こういうことやったよね」というようにフィードバックさせていったりすることを指すのですよね?

はなえさん:そうそう、例えば壁に張り出したりして。それを子ども達と見た時に、例えば足と手に絵の具を塗る活動をした後に子どもが「今度は顔もやりたいね」とか発言したら、ペタゴー(保育士)はそれを拾って、「じゃあ次は顔でどんなことをする?」と一緒に展開させていったり。

ーーー ドキュメンテーションそのものはいつ作るのですか?

はなえさん:私たちには事務所でドキュメンテーションを作る作業をしていい時間が設けられています。その時に作っています。

ーーー ちなみに毎日の個人個人の様子はどのように保護者へ伝えているのでしょうか?

はなえさん:日本みたいに連絡帳みたいなものはなくて、そのかわりITを利用している形です。例えば、支給されているiPadは保護者とオンラインで繋がっていて今日の様子や写真などをポンッと送信できるようになっています。保護者の方も欠席の連絡などオンラインで済ませられるなど合理的なシステムになっていますね。

ーーー 日本だと連絡帳や日誌など書類業務が多くて残業や持ち帰り仕事になることが多いです。他にも行事準備や装飾とか…

はなえさん:デンマークの園は連絡帳が無かったり行事も少なかったりしますが、じゃあ日本と比べて仕事量が少ないかというと、そうでもありません。ドキュメンテーションもありますしね。ちなみに残業するなんてことはないです。というより絶対にしません!(笑)

ーーー 強い意思を感じます(笑)

はなえさん:なので、残業をするのではなく、時間内で終わらせられるように工夫や協力が大切です。

☆デンマークの教育、保育が目指しているところ

ーーー 日本の園だと「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」など国が定めたものに沿って全体の保育や教育がなされています。デンマークではこういったものはあるのでしょうか?

はなえさん:もちろんデンマークにも指導要領はあります。例えば日本でいう「5領域」みたいなのはデンマークだと6つあります。

  • 子どもの全面的な人間形成・個の確立
  • 言葉
  • 体と動き
  • 自然と自然の現象
  • 文化的表現方法と価値
  • 人間関係・社会能力

これら6つのテーマを基に学びの計画を立てていきます。

ーーー 週案や月案といった活動予定はあるのですか?

はなえさん:私の園では、週一回絵を描く、絵本を読む、リトミック、散歩、感覚遊び、といった形で予定を立ててあります。これらを6つのテーマに当てはめて活動をざっくり考えていきます。もちろん、それらは子ども達の様子や興味から柔軟に対応させていくことになります。

ーーー なるほど、この6つのテーマが「子どもが身につけておくべき内容」ということになるのですね。

はなえさん:そう、でも実はそれはすごく最近の話なのです。以前から指針だったり方針だったりは各自治体や園などでそれぞれ取り組みがありましたが、2004年以降「年間保育指導目的および計画書」の作成、提出が統一化されました。また、伝統的にも保育園、幼稚園は「遊び」を中心に活動することを重要視するため、読み書き習得をなど、教育を受ける場所ではないとしています。基本的に対話によるしつけを重んじて, 自立 、自制心を育てるように子どもたちと関わっています。

ーーー 何か特徴的な取り組みはなされているのでしょうか?

はなえさん:例えば、自治体から保育士各自にiPadが支給されています。それを利用して専用のアプリケーションに子ども達との活動の記録をつけていきます。すると、こちらの取り組みによって子ども達が得られたであろうスキルのグラフが表示され、次回以降の活動の参考にしたりしています。

ーーー デンマークの保育や教育では、学力という点での意識はされているのでしょうか?

はなえさん:それはもちろんあります。でも学力と言っても日本で言う学力ではなく、

ーーー 国語算数理科社会とかではなく?

はなえさん:そう、もっとこう社会性とか、「個人」が目に見えるカタチですね。

ーーー 日本からすると、北欧の教育や保育は「すごい!」と紋切り型に思われがちですが、その国にはその国の問題があってそれに対して取り組んでいる。となると、どこが一番すごい、正しいなんてものはなく、みんな頑張っているんですよね。

はなえさん:自分の息子が通っている園と働いている園しか知らないので「デンマークの園は」なんて言えないけど、私もそう思います。

ーーー でも、そういったことも実際に「外を知る」というキッカケがないとわからない部分ですよね。自分だけが大変というわけではないし、実はよそに改善のヒントがあったり。

はなえさん:そうそう!そういうキッカケをつくることをしたくてmormormorも始めました。

ーーー 世界の教育保育系キッカケづくりのデンマーク代表ですね!

はなえさん:(笑)私は、見聞きする日本の保育士さんの大変な状況とかを変えられたら…と思います。それは、デンマークが優れてるとか「素晴らしいんですよ!」といったことではなく「こういうのもあるよ」って1つの考え方を伝えることです。

世界一しあわせな国の教育のおはなし  ~デンマーク人はなぜ世界一しあわせ?ランキングではわからない、しあわせの指標~

mormormorさんのトークイベントが7月にあるようです。おすすめです!

・イベントページ

・Twitter

・Facebook

Filed Under: インタビュー

hibikina.com© 2026