先日、当ブログをご覧頂いている方からメールを頂きました。内容は親子リトミックについてのご質問です。
※メールの内容について、公開の許可を得ております
親子リトミックの難しさ
メールの内容は、以下の通りでした。
・泣いたり、帰ろうとする子がいる
・活動の持っていき方で苦労している
・子どもが入りやすい活動はないか?
乳幼児期の親子リトミックは、子どもの状態がストレートに出てくるため、「乗せていく」には難しい部分があります。
その子が興味を持てば活動に入ってきますが、無ければ出て行ってしまいます。また、「親」という安心安全の対象がいることで、要求がそのまま出るので尚更です。
そんな、シビアな中で子どもを活動に乗せていくには??
理論よりも大切なもの
私も、最初はどのように親子リトミックを進めていくべきか試行錯誤しました(現在も、ですが)。
開始前までは楽しく関われているのに、活動が始まると子どもが乗ってこず、なんだか自分1人が鼻息荒く活動を進めている。そんな錯覚に陥ることがありました。
そうして、
・リトミックに縛られない
ここに気がついた時、それまでとは少しづつ活動の雰囲気が変わってきたように思います。
つまり、失敗続きの原因は「リトミックはこうあるべき」という理論を先行させた結果、子どもが興味を示す前にそっぽを向いてしまう。押し付けになっているので、子どもは「やらされている」となり、そんなものは当然、楽しくありません。
そして、子どもの発達や様子といった事も大きく左右される、といった大前提にもようやっと意識を向けられるようになりました(まだまだ勉強中ですが)。
以下メールの返信内容になります。今の私の、活動への考え方になりますが、もちろん実際の様子を見ているわけではないので、これが正解とは言えません。あくまで私自身の見解です。
恐らく、ですが活動の「やり方」より「捉え方」の方に注目してみると良いかもしれません。
私は、1歳前後のクラスで、特に初めて参加する親子が多い場合は、活動前にリトミックの説明と共に「この年齢では、どれか一つでも楽しめればそれだけで十分です」と伝えるようにしています。
人見知り、場所見知り、その日の体調や機嫌、出来事など、様々な背景要因を持って参加することとなるので、どの子も毎回ニコニコとはいきません。
また、「泣いてしまう」「帰りたがる」という状態は「不安」が大きく関わっている、と言えます。というのも、そもそも1歳前後の年齢では、未来に対する「見通し」を持つことが発達段階的にまだまだなところがあります(もちろん個人差はあります)。「これから何をするの?」という不安から泣いてしまう、というのはよくあります。
簡単に言ってしまえば「これから、こんな事をやるよ〜」と実際に物だったり、他の子がやっているのを見せたりして興味を引き出してしまえれば、こちらのものです。あとは子どもが楽しめれば、それが経験となりその後に繋がります。
それなので、輪の中に入れない子には、「端で様子を見ていて、お子さんが興味を示しそうな時に入ってきて見て下さい」と保護者に伝え、こちらも活動中に気にしつつ誘ってみたり、と進めていくと少しずつ輪の中に入ってこれたりします。
「お散歩」の活動、「歩く、止まる」、と目標を決めたとすると、輪に入れなかった子は「できなかった」となってしまいますが、「音楽と一緒に身体を動かそうとしてみる、楽しんでみる」といった目標ならば、端で見ていても十分達成出来うるものになります(本来、この年齢ならば、このくらいの目標が適当です。保育所保育指針などの指導計画などが参考になります)(もっと言うと、歩く、など全身運動だけがリトミックではないので、様々なアプローチが出来るはずです)。
完璧を目指さず、一部分での成功をねらい、そこから次に繋げることを目指すとお互い楽になると思います。
関わり方の大切さ
結局、人間を相手にしている以上「これが正解」といったものはありません。ダルクローズ教育など、理論自体は「こうあるべき」が決められていますが、それが万人への答ではありません。
それなので、それを扱う側である指導者自身が、目の前の「最善」を見つけていくべきであり、そのためには理論云々よりも「関わり方」から始めていく必要があります。
リトミックは「やり方」というレシピを知っていても、美味しい料理が出来るわけではありません。