ここでは、リトミックについて歴史についてのお話や、目的、また日本におけるリトミックの状況などをお伝えしていきます。
ただ、このシリーズはあくまで、リトミックに興味を持っている、またこれから始めようとしている人に向けて、リトミックのエッセンスをお伝えしていくことが目的なので、深くは掘り下げていきません。
豆知識のように「へーそうなんだ」と知っておいて頂くくらいで丁度よいので、かまえず進めていただければと思います。
ダルクローズが考案した音楽教育
リトミックとは、ジュネーブで音楽学校の講師をしていた「エミール・ジャック=ダルクローズ」によって生み出された「音楽教育」の一つです。
リトミックの効果として「集中力を養う」「音感を培う」といったものが謳われていますが、それらはあくまで副次的な結果であってリトミック自体の目的ではありません。
音楽家として音楽を身につけるために、身体の動きであるリトミック、歌唱によるソルフェージュ、そして即興演奏の3つをダルクローズ理論として学ぶことが本来の目的です。
それなので、日本で一般的に行われている「リトミック」とは、このダルクローズ理論の一部分が独り歩きしている、といっても良いかもしれません。
ダルクローズ・サブジェクトについて
リトミックでは全身を使い様々な動きをします。例えば、歩いたり、走ったり、ゆっくり動いたり。
全身の力みや弛緩といった動きで強弱を表現したり、高い低いといった空間の高低を表現したりもします。その他にも様々な表現を全身を使って動きで表していきます。
そして、これらの動きは音楽の中で起こりうる流れと結び付けられます。
例えば、歩くスピードは拍やテンポ、音の強弱や高い音、低い音、そしてニュアンスなど、音楽のなかで起こっていることと同じです。これらを「ダルクローズ・サブジェクト」として、動きや歌唱による「筋肉の感覚」から経験し学んでいきます。
即時反応について
もしかすると、リトミックのことをある程度ご存知のかたは「即時反応」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これはその名の通り「即時に反応すること」です。よく、こうした反応を高めていくことがリトミックの目的と謳われていますが、本来のリトミックは音楽表現を身体の動きから学ぶことなので、それ自体は目的ではありません。
それなので、即時反応で培われるものとはリトミックの経験による副次的な結果だと言えます。