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指導案

リトミック指導案の作り方 その5【活動4,5,6,7:終結まで】

2016年9月22日 by 藤原 大輔

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リトミック指導案の作り方、サンプル指導案をもとにご説明いたします。

ここまで、『指導案の組み立て方」の導入から最初の活動までについてお話をいたしました。

→リトミック指導案の作り方 その1 【スムーズな活動にするための全体構成の仕方】

→リトミック指導案の作り方 その2【活動1:導入】

→リトミック指導案の作り方 その3【活動2:導入2】

→リトミック指導案の作り方 その4【活動3:お散歩】

→指導案のダウンロードはこちら

集中を要する「音を聴き分ける」という活動

さて、以前の記事で活動の真ん中にピークを持ってくるという事をお伝えしました。

全体の活動の流れは時系列で大きく3つの部分に分かれます。

  • 発散させる部分
  • 集中させる部分
  • 解放する、終結させる部分

 

前回の「お散歩」が1だとしたら、次からの活動が2になります。
それなので、ここからが指導案で立てた「目標」の部分になっていきます。

「お散歩」ではリトミック活動で行う「動く」「止まる」という基礎部分を遊びながら行いました。と同時にこれらは以降の活動の『前提条件』になります。

この後の活動ではテンポや音楽の違い、合図に反応をしていくことになるのですが、そもそも「音を聴く(自分から能動的に、という意味で)」ことが出来ていないと活動は成り立ちません(ただ好き勝手に走り回る、になってしまいますよね!?)。

「導入」でこれからはじまる活動への示唆、体験を。
「お散歩」でルールの経験と、遊びたい!といった有り余る欲求の発散を。

ある程度遊べたら、「次はこういうはどう??」というように次の遊び(活動)を提示する。そんな流れになります。

本当に「聴く」ということが要求される車のイメージ活動

「車に乗る=走る」というイメージ活動です。今度は歩くことよりも激しい身体の動きをするので子ども達にとっては刺激的なものになります。

刺激的、ということは子ども達からすると「走る」ことのみに夢中になりやすいです。

しかし、その状態でも「音楽を聴く、反応する」ということを行うことになるので自分をコントロールしていかなければいけません。

そんな状態だからこそ集中することが培われていく、と言えるでしょう。

また、一つ前の「お散歩」の活動で出てきた「赤信号=止まる」という概念もそのまま活かせます。

それなので、イメージが日常的であり連想しやすいことから「お散歩」から「車」の活動はスムーズに移行し易いです。

さて、この活動の入り方ですが年齢が低いほどしっかりイメージを持たせることが大切になってきます。

そうしないと、ただワーッと始まり走り回ってお終い、といった経験にしかなりません。

「お散歩」の活動が終わったら一度、子ども達を座らせて以下のように進めるとよいです。

「次は…乗り物に乗りたいと思います。」

「(ハンドルを持つふりをしながら)こういうふうに…運転する乗り物って知ってる??」

「そう!今度は車に乗ってみます。…乗ってみたい子!じゃあ、みんなに鍵を渡すね(一人ひとりに渡すふり、余裕がなければいっぺんに渡すふり)」

「じゃあ、みんな鍵を開けて〜、乗ります(よーいしょ)、ドアを締めて(カチャン!)、エンジンかけて(ブルーン!)」

この段階まで来たら「まだ赤信号だから止まっててね…青になったら走るよ…」と小声で伝えつつ準備をさせます。

音楽が始まったら一斉に走り出すでしょう。

もし、人数が多いクラスの場合は「お友達とぶつかるとケガになるからね、離れて一人で走ってね」と声掛けをしておくようにします。

音楽を「聴き分ける」という動物のイメージ活動

続いての活動は2種類の音楽を「聴き分ける」という活動になります。

これまで「歩く」または「走る」と「止まる」という二つの動きだった内容が一段階、高度になります。

最初に絵を見せてイメージさせることを行いますが、これには2つの目的があります。

一つは、具体的であり子ども達もよく知っているであろう動物をイメージさせることで、「どんなふうに動けばいいのか」という活動へのヒントを与えることになります。

そしてもう一つの目的として「休憩」があります。

この一つ前の活動は「走る」ことをメインに行ったので、子ども達は充実感とともに疲れも伴います。

活動も中盤に差し掛かっていることもあるので、この辺りで休みを入れたほうが後半へのためになります。

それなので、ただ絵を見せるのではなく、紙芝居のようにしたりクイズコーナーのようにしたりと工夫して2〜3分かけて休みつつ、でも次への期待に繋がるような時間にしていきます。

参考:【リトミックの指導方法】物を使った活動での提示の仕方1

また、ここでは動物の動きをイメージさせていますが、必ずしも「ゾウなら手を前に伸ばして鼻のつもりでパオーン」といった特定の動きをさせる必要はありません。

あくまで「音楽の違い」を動きとリンクさせてイメージできるように動物を提示しています。

指導案の「指導ポイント」では「鳴らしながら動き見せる」としました。これは、タンバリンで音楽の拍を鳴らしながら動きを見せることを想定しています。

この時点では指導者は両手が塞がっているため、特定の振り付けのようなものは提示されていません。音と「下半身の動き」のみです。

こういった、子ども達がよく知っている事柄をイメージ活動で使う場合は、最低限のルールのみ伝えて、あとは自由にさせていくと面白いです。

活動を進めながら「わー!◯◯くんのゾウさん、すごい◯◯だね!」「みんな見て見て◯◯ちゃんのことり、とても◯◯だよ!」など、個人の良いところ、独創的なところなどを周りとシェアしていける機会が生まれます。

そのことで、活動が盛り上がったりします。

参考:【リトミックの指導方法】分かりやすい提示は「モデルを示す」3

指導案では「ゾウ」と「ことり」としていますが、この限りではありません。

自由に変えても良いと思います。

最後に「遊び」とちょっとした「スリル」のある活動を

ここまで来たら、活動は終結に向かいます。どのように終結させるかで、子ども達は「また遊びたい!」となるか「もういい」になるかが分かれます。

メインである「音楽を聴き分ける活動」が終わったら、子ども達は頭も身体もクタクタになりつつあります。この段階で課題めいたものを行うと「また!?もうこういうのはやりたくない!!」となってしまいます。

疲れた印象だけ残ってしまい「リトミック=やりたくない」という図式になりかねません。

それなので、最後に行う活動としては「激しくないもの」「頭を使わずにできるもの」「でも、楽しいもの」という条件をもった活動が最適です。「お化けの森活動」はこれにピッタリです。

活動としては単純で、不安な音楽の中、子ども達は抜き足差し足忍び足…合図がなったらその場でしゃがんで隠れる(ふりをする)、これだけです。(ちなみに終わらせ方は、「森を抜けた!」で明るい音楽とともにスキップします)

もし、時間と子ども達に余裕があるのであれば二つ前の活動「車」をもう一度入れてもよいでしょう。

先ほど行ったものなので、負担なく取り掛かれるはずです。ただし疲れているので活動時間は最初より短くします。

「走る」ことも「楽しい!」につながるので、「あー面白かった!」と活動を締めくくれるでしょう。

最後に「終わりのうた」で活動はおしまい。歌うことで「これで今日はおしまい」「いつもの時間に戻る」という気持ちの切り替えを促します。

色んなことをして考えたり疲れたりもしたけど楽しかった!といった子ども達の反応が得られたら、30分の活動は成功といえるでしょう。

「またやりたい!」という気持ちが次へ繋がります。

さいごに

リトミック指導案の基本的な流れとしては以上です。


最初の記事
では指導案の全体的な流れをお伝えしました。これは活動内容についてではなく、子どもの動きや様子を想定して組まれた流れになります。

私がリトミック指導案で失敗してきたことといえば、このように「流れ」を意図して組めていなかったことが大きい原因でした。

「音の高い低いを理解させるためには…」
「即時反応は大切だからやらなきゃ…」
「今回はギターを使ってみたいから…」

などと、自分の都合を優先させた結果、非常にストレスやプレッシャーのかかる活動になっていたりしました。そんなものでは子ども達は嫌になってしまって当然です。

いかに子ども達を楽しませることができるか?その中で何を経験させるのか?そのためには、どう進めればいいのか?

子ども達の目線で考えていくと、指導案は組みやすくなります。

もちろん、これらはあくまで私自身の経験によるものです。あらゆる子ども達に適したものではありません。現場ごとに吟味していく必要があります。

絶対、という方法はありません。

ただ、一つの「考え方」があると、そこから方法を発展させることが出来るようになってきます。

ここでお伝えしたことが、皆様の「一つの考え方」としてお役に立てれば幸いです。

リトミック指導案作成に役立つ本

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リトミック教育のための原理と指針 ダルクローズのリトミック
リトミックの理論やアプローチ方などわかりやすく解説された名著です!
リトミック論文集 リズムと音楽と教育 エミールジャック=ダルクローズ
ダルクローズの論文集。難解な本ですが、読めば読むほど彼の想いや意図が身に染みます。
子供を動かす法則 (教育新書 41)
リトミックの本ではありませんが、子どもに教えるために必要な技術が網羅されています。リトミック指導者こそ読んでおくべき必読書。

Filed Under: リトミックの指導案 関連タグ:リトミック, 指導案, 指導案の作り方

リトミック指導案の作り方 その4【活動3:お散歩】

2016年5月9日 by 藤原 大輔

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リトミック指導案の作り方、サンプル指導案をもとにご説明いたします。

ここまで、『指導案の組み立て方」の基礎部分についてお話をいたしました。

→リトミック指導案の作り方 その1 【スムーズな活動にするための全体構成の仕方】

→リトミック指導案の作り方 その2【活動1:導入】

→リトミック指導案の作り方 その3【活動2:導入2】

→指導案のダウンロードはこちら

定番の「お散歩」といった活動、なぜ行う??

どんな年齢のリトミック活動でも、この「お散歩」のように【歩く】という活動は出てきます(乳児対象の場合は「親子で歩く」というように内容に違いはあります)。

これは、リトミックで満たすべき条件が最大限に得られるから、だと言えます。

例えば、リトミックの大前提として「全身の感覚をもって音楽を感じる、理解する」というものがあります。

活動の中で行われる「歩く」「(音楽が止まったら)止まる」といった内容は一見するととても単純なものです。

しかし、その中には「全身を使う」「聴く」「反応する」「考える」などリトミックで経験していくべき項目がふんだんに盛り込まれています。

また、「お散歩」という事柄は子ども達にとってイメージがしやすいものでもあります。

子どもからすると、「あ、知ってる!」と思えて「これから歩いたりするのかな??」と見通しを持ちやすいことによって活動への興味や集中が持てるようになります。

そして何より身体を動かすことによって気持ちを発散させることにもなります。

子ども達の集中や興味があるうちに、また身体と気持ちをメイン活動に向けて暖めていく、という意味で前半に行うのがよいでしょう。

立って行う活動は、いきなり行うより段階をつけたほうがスムーズに行いやすい

ここまで、2つの導入活動で「音の有無に反応する」といったことを行ってきました。言ってみれば、これからが本番になります。

5歳児くらいだと、初回の活動で前2つの導入を飛ばしても「お散歩」の活動へ入っていく事は出来ると思います。

しかし、3歳児の集団でそれを行うと「開始早々、走り回る」ということが予想されます。

しかしそれはあくまで「私の経験からのイメージ」です。

集団とは様々な性格、気質の子どもが集まっているものなので一概には「○歳児だからこう」とは言えません。

つまり、5歳児でも、その集団によっては難しいことがあるでしょう。

そもそも、走れる空間のある部屋でじっとしている、ということは子ども達からすると難しいはずです。

そんな状態で「今からお散歩をするよ〜、どうするのかっていうと音楽が鳴ったら〜」なんてルール説明は聞いてもらいにくいです。

それなので、遊びのように導入活動を2回入れていくことで段階をつけていき、「音に反応する、止まる」という最低限のルールをしっかりと定着させていくことをねらいました。

こうすることで、「音楽が止まったら動きも止める」というルールが「さっきの(タンバリンに合わせてクラップする)と同じように…」と伝えやすくなります。

「お散歩」の活動は、ほとんどすべての活動の基礎になり得るので丁寧に行うべき

正直、導入活動を2回入れるのは回りくどいやり方かもしれません。

しかし、この「音楽に合わせて歩く、止まる」といった内容は今後行っていく活動の基礎になります。

リトミックの活動では、歩く以外にも走ったり、ゆっくり動いたり、模倣してみたり、合図や音楽を聴き分けて表現してみたりと様々な事を行います。

それらほとんどすべての内容が「歩く、止まる」の発展系だと言えます。

それなので、このお散歩といった活動は子ども達が慣れるまではしつこいかな?と思えるくらい丁寧にやっていくべきです。

ちなみに、指導案の中で「音楽が止まったら赤信号→なので止まる」としています。

ここで、子どもの動きとして「止まる際に「あか!」と言って手を挙げる」というものがあります。

これは、ただ止まるだけではなく行動をプラスすることで、より「止まる」という動作に意識を持っていけるように行っています。

今回、具体的な指導の流れは省きますが、以下の記事にあることを意識していくとスムーズに進められるはずです。

→【リトミックの指導方法】分かりやすい提示は「モデルを示す」2


次:リトミック指導案の作り方 その5

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リトミック指導案の作り方 その3【活動2:導入2】

2015年11月28日 by 藤原 大輔

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リトミック指導案の作り方、サンプル指導案をもとにご説明いたします。

ここまで、『指導案の組み立て方」の基礎部分についてお話をいたしました。

→リトミック指導案の作り方 その1 【スムーズな活動にするための全体構成の仕方】

→リトミック指導案の作り方 その2【活動1:導入】

→指導案のダウンロードはこちら

「やってみよう」を引き出すために一つレベルの上がる活動を行う

前回の内容は「緊張をほぐす」ということがポイントになっていました。

と同時に「音を鳴らす~止める」といった活動の基礎部分も経験させていくことになっています。

そして何より大事なのは子ども達が活動に対して興味を持てることでした。

やっていることは単純に「先生のものまねをしていく」といった内容でしたが、今回はそれを一歩進めた形の活動になります。

【タンバリンに合わせてクラップさせる】という活動では、指導者は楽器を用いて、子ども達は何も持たず手を鳴らすことになります。

動作は似ているものの、子ども達はそっくりそのまま真似をすればよい、とはいきません。

提示されたルールを自分で判断して動いていくことになるので、ひとつ前の活動よりレベルが上がったことに臨むことになります。

本当に些細な、小さなことなのですがこのように段階を経て難易度を上げ下げするような指導案の流れが子ども達の興味集中を持続させることにつながっていきます。

タンバリンを取り出す行動自体が子どもの興味を集める「お得な場面」になり得る!

ひとつ前の活動では何も使っていませんでしたが、今回の場面ではタンバリンを使います。

ここで「じゃあ、次は~(取り出して見せて)これを使います」というようにアッサリとタンバリンを出してしまうのはもったいないです。

「次は~何を使うでしょう!?」と言いながら背中の後ろに隠して、チラッチラッと見せます。

そうして、子どもの興味を煽り「正解はこれでした!」と取り出して見せるようなクイズ形式にすることができます。

こうした時間はとても無駄に思えるかもしれません。「ぜんぜんリトミック関係ないじゃない!」とも思えます。

でも、子ども達を相手にする場合こうした「遊びの雰囲気」を出していかないと「やらされてる感」が満載で義務でしかない退屈なレッスンになってしまいます。

子ども達はそうした空気をすばやく感じます。

「やらされている=つまんない」となった子どもより「やってみたい=おもしろい!」といった意欲的な子ども、どちらが活動に熱心になるでしょう?

このやりとりは時間にして数十秒のものです。でも、これだけで子ども達が活動に対して興味を持ち続ける時間が増えるので使わない手はありません。

導入は次の活動への布石を打つこと、子ども達に見通しを持たせることが重要

活動自体は、

  • 指導者はタンバリンを一定の拍でならす
  • 子ども達は音に合わせてクラップする

といったものです。

これらは、「音を聴く」「反応して動く」といった今後の活動のベース構造になっています。

いきなり【導入1】を飛ばしてここからでも良いのですが、初回ということもあり丁寧に進めています。

  • 【導入1】は緊張をなくすこと、【導入2】への布石
  • 【導入2】は今後の活動への布石、そして活動の基本構造を経験させる

といった段階になっています。

ここまでを経てようやっと「音に合わせて動く~止まる」という基本を経験させたことになります。

とはいえ、これをやったからといってこの後の活動がスムーズにいくわけではありません。

でも、基本構造である「動く~止まる」を経験したことによって「さっきみたいに止まればいいのかな?」と見通しを持たせることが出来ます。

いきなりメインの活動に入っても、子ども達は混乱するかもしれません。

でも、導入部分から緊張を解きつつ、内容は活動への布石となるものを行い「見通し」をつけさせることで大きく様子が変わってきます。

指導案作成にあたり、【導入】は丁寧に設定することで後の活動が楽になってきます。

次:リトミック指導案の作り方 その4

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リトミック指導案の作り方 その2【活動1:導入】

2015年10月13日 by 藤原 大輔

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リトミック指導案の作り方、サンプル指導案をもとにご説明いたします。

ここまで、『指導案の組み立て方」の基礎部分についてお話をいたしました。

→リトミック指導案の作り方 その1 【スムーズな活動にするための全体構成の仕方】

→指導案のダウンロードはこちら

今回からは資料として指導案を用意しました。これをもとに「なぜこの活動を行うのか?」といったことをご説明していきます。

もちろん、これは私のやり方というだけで正解ではありません。

あくまで参考程度にとらえていただけると幸いです。

最初に行うべきことは「緊張をほぐす」こと

今回のサンプル指導案では「初回」ということを想定しています。

初回の場合、子ども達がこちらに向けるものとして「興味」と「不安」があります。

もし、普段から子ども達と関わりがある中で「初めてのリトミック」というのであれば「先生、なにするんだろ!?」と「興味」の方が優っているでしょう。

しかし、子ども達とは初対面で関係がまだ作られていない場合は「不安」方が勝ることが多いです。

それなので、この導入部分は興味を集めるのと同時に「不安をなくす」という意味合いを持っています。

簡単なことから始めていくと、子どもも入ってきやすい

いきなり「さあ!お散歩で!歩くよ!」なんて大きい活動は警戒されるので行えません。

とても簡単なことから始めていくようにします。

活動:∇手で膝など身体の部位を鳴らし続ける~止める

この活動は、子ども達が座っている対面の位置(1~1.5メートルくらい離れる)に指導者も座り、「同じ目線で、接近し過ぎない距離」から関係を作っていくようにしています。

「先生の真似っこしてね」と伝え手を鳴らし続けます。

ある程度の子達がのってきたら、おもむろに手を止めるようにします。子ども達が「!?」と手を止めたら、「先生が止めたら、みんなも”ピタッ”と止めてみてね」と伝えます。

この段階で「真似をして鳴らす→止める」のルールが提示されました。

一回で全員が理解することはないので、その後何回か繰り返しましょう。

しかしこれだけでは、子どもからすると「単にやらされているだけ」になってしまいます。

8割位の子が出来るようになってきたら、止めるタイミングを変えていくようにします。

パターンを揺らしていくことで「遊び」や「ゲーム」感覚になってきます。

次第に子ども達は「次はいつ止まるんだろう!?」と期待して手を止めていこうとするので自発的なものになっていきます。

この段階から「目標」へのアプローチは始まっている

今回の指導案、大きな目標として「音の有無への即時反応」とあります。

この活動の段階では「音に合わせることを意識する」という小目標で行っていますが、実際は大きい目標である「音の有無」にも繋げています。

それなので、一つの目標は一つの活動で達成を目指すわけではありません。

物事を身につけるには、一回ではなく繰り返し経験することが大切です。

それなので、指導案の設定は様々なやり方で一つの目標へアプローチしていくほうが効果的です。

次回は、 もう一歩進めた導入部分についてです。

次:リトミック指導案の作り方 その3

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リトミック指導案の作り方 その1 【スムーズな活動にするための全体構成の仕方】

2015年9月20日 by 藤原 大輔

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リトミック指導案の作成は「全体の流れ」を意識して組み立てていくと作りやすい

→前回”リトミック指導案の作り方 その0〜指導案を作るために必要なものとは?

この回では、リトミック指導案を作る際に注意する点をお伝えします。

活動は、ただ並べるだけでは上手くいきません。子どもを相手にする上で原則的なルールがあります。

もちろん、子どもは一人ひとり違うので完璧に誰にでも当てはまるとは言い切れません。

ただ、私の経験上ほとんどの現場で適用でき、いつの年代でも有効だった事柄です。

この原則的なルールを全体の流れに組み込めば、スムーズに進められる指導案を作ることが出来るはずです。

原則その1″子どもの集中は短いので一個の活動は短く設定する”

子どもの集中時間はとても短いです。一つの活動をこちらが提示している時が最も興味を持っている時で、集中も生まれます。

しかし、活動が始まると集中は下がっていきます。そして、同じようなことを長時間続けることは難しいです。

スムーズに全ての活動をこなすためには、この集中をなるべく維持させながら進めていかなければいけません。

それなので、一つの活動にかける時間は短く設定して、興味を惹き続けられるよう次々に新しい活動を展開させていく必要があります。

一個の活動時間ですが、年齢が低いほど短く設定します。3歳児であれば長くて5分くらいでしょう。

3歳児を対象に全体で30分の活動だとすると、5分の小活動を6個用意するイメージです。

これに、全体の目標を設定して、いかに各活動へ配分していくかを考えていきます。

原則その2″対象年齢が低いほど毎回内容を大きく変えない”

上記の続きで3歳児対象で小活動を6個用意するとします。

その日の活動全体に対する目標全てを6個全部に当てはめてはいけません。

全体目標に対応する新規の活動は1〜2個に、残りはいつもと同じ活動にします。

毎回毎回、全て新しい活動を行っていくというのは子どもからすると「ついていかなければいけない」といったような負担になる場合があります。

新しい活動というのは、「どんなことするんだろう?」という気持ちになりますが、それは子どもによって「期待」にもなるかもしれないし「不安」にもなるかもしれません。

反対に、いつもと同じ活動というのは「これ知ってる!前にやったやつだ!」と見通しが持てることで、安心と自信が生まれ、それが興味集中を生むきっかけにもなります。

また、一回の活動で物事を身につける、ということは出来ません。繰り返す事で身につけていきます。

それなので、年齢が低いほど、毎回の内容を大きく変えないことが大切です。

因みに、私は3歳児が活動の基本になると考えています。

例えば、3歳児の指導案構成が、小活動6個(うち新規活動が1〜2個)、一つの活動が5分だとすると、

 

  • 5歳児では小活動4個(うち新規活動1個)、新規活動15分で通常活動は5分
  • 2歳児では小活動6個(うち新規活動1個)、各活動時間は3分(なので全体で約20分)

 

 

というように、3歳児案から新規活動数や活動時間を増減させて構成を考えていくことができます。

原則その3″導入から終結までの流れは真ん中にピークを持ってくる”

全体の流れについてです。一つの活動単位での話と同じで、やはり集中は時間が過ぎるほど下がってきます。

では、活動のメインとなるものは、元気な内の最初に行うべきか?と言うと実はそうではありません。

全体の活動の流れは時系列で大きく3つの部分に分かれます。

 

  1. 発散させる部分
  2. 集中させる部分
  3. 解放する、終結させる部分

 

 

1の段階はリトミック活動が始まって5分〜10分くらいの部分です。

この段階は元気があり過ぎて注意散漫になっていることが多いです。

なので、慣れた活動で身体を動かし体力を多少使うような活動がよいです。

ある程度動いて発散したら本題に入る形で2の段階へ移るイメージです。ここで新規の活動などが入ります。

頑張った後は、簡単で楽しいゲーム的な活動で遊んで終わりへ向かいます。これが3の段階です。

ただ、この流れは常に適用できるとは限りません。

活動に慣れないうちは、もしかすると1の段階がメインになるかもしれません。

また、こちらの目標としている2の段階にこだわりすぎると「やらせてる感」が強くなり、活動が楽しいものではなくなってしまいます。

指導案”例”の公開

ここまでの原則を踏まえると、

 

  • 全体の目標を決定、内容を検討する
  • 細かい活動を多く用意する
  • 新規活動は真ん中に、慣れた活動を前後に入れる

 

 

といった形で指導案を構成していくことになります。

とはいえ、これら文字だけの説明では分かりにくいかと思います。

それなので、今度から実際に作成した指導案で一つ一つ流れをご説明していきたいと思います。

この指導案ですが、

 

  • 対象は3歳児10人の集団
  • 活動時間は30分
  • 初めてリトミックを行う

 

 

といった設定です。

次回は導入部分についてお伝えします。

→指導案のダウンロードはこちら

次:リトミック指導案の作り方2【活動1:導入】

リトミック指導案作成に役立つ本

おすすめ本 詳細
リトミック教育のための原理と指針 ダルクローズのリトミック
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Filed Under: リトミックの指導案 関連タグ:リトミック, 指導案, 指導案の作り方

リトミック指導案の作り方〜指導案を作るために必要なものとは?

2015年9月11日 by 藤原 大輔

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リトミック指導案はどうやって作る?

「リトミック指導案ってどうやって作ればいいの!?」

リトミックを教える、または教えたいと考えている人なら一度は直面する問題だと思います。もちろん私もそうでした。

指導案の作り方には原則があります。

この原則を理解していると理解していないとでは、活動の流れに大きな違いが出てきます。

今回から私が経験してきたアイデアを「リトミック指導案の作り方」という一連のシリーズとしてお伝えしていこうと思います。

なぜ指導案作成は難しい?

今現在、世の中にはリトミック講師養成教室や教則本(楽譜集??)がたくさんあります。

その中からたくさんの「やり方」としてリトミックのアイデアは得られます。

それらを組み合わせてリトミック指導案を作る事は、形としては出来ると思います。

私も最初はそうしてました。でも、実際にそれを使って指導してみて上手くいく事は少なかったです。

というより、活動として行えてはいるが「実感」としては意味が伴っていないように思えていたのです。

本などからのアイデアには限りがあります。

すぐにネタ切れとなってしまうので、自分で指導案を生み出す必要がでてきます。

恐らく、ほとんどの方がこういった同じ道を歩んでいると思います。

そして、いざ自分のオリジナル指導案を作成しようと試みるも…「どうやって作ればいいの!?」

例えば、「お散歩する→音楽に合わせて歩く」といった活動単位のアイデアは思い浮かびます。でも、

 

  • 何を活動の目的にすればいい?
  • 一回の活動でどんなことをするべき?
  • なんだか同じ活動ばかりになってしまう…
  • そもそも、どんな順番で活動を組み立てればいいのか?

 

 

といった「構成」の部分で悩んでしまうのです。

それもそのはず。ほとんどの本などで教えられているのは「活動単位」での内容しかありません。

それらを適当に並べて30分の活動、とは上手くいくはずがありません。

なぜなら、

 

  • なぜ、この活動を最初に行うか?
  • なぜ、中盤に必ず◯◯を行うのか?
  • なぜ、活動の流れはこうするべきなのか?

 

 

というような「子どもを指導するため」に必要な考え方、原則的な理由がそこにないからなのです。

「この活動、この場面は◯◯の意味で設定しています」とはっきり説明できる位でないと、指導する側も何をやっているのかわからなくなってしまいます。

人間を相手に指導をする以上、あやふやな考え方では通用しません(お遊戯的なものであれば、そこまで必要ではないかもしれませんが)。

指導案の作成が難しく感じてしまうのは、指導の「原則」を知らないことから起こるものです。

指導案作成で「子どもを見る力」が身につく!

「原則」に則って自らが作成した指導案だと、実際の指導に見通しが持てるようになります。

そしてそこから「余裕」が生まれます。

すると、リトミックの最中に子ども達の様子を見極めた上で内容を変更するなど臨機応変さが身についてきます。

また、慣れないうちは指導内容にばかりこだわってしまいがちです。

でも、そもそも意味があって教えるということが出来なければどんなに素晴らしい活動内容であっても上辺ばかりをなぞることになってしまいます。

にぎやかな教材など使用するのもいいのですが、そもそも目標(ねらい)のために「本当にそれを使う必要があるか?」くらいまで考えられないといけません。

指導案作り、そして活動することを楽しみましょう!

今回からお伝えしていく「リトミック指導案の作り方」は、あくまで私が経験から培ってきたものです。

万人に合う内容ではないかもしれません。それなので、あくまで「こういう風にすると活動はスムーズにいきますよ!」といったご提案になります。

指導案作成になれてくると、「次回から何をしていこうか?半年くらい先にはこれが出来るといいな〜」なんて次の活動にワクワクして臨めるようになります。

そうなれるよう、あなたの個性的なリトミック活動のお手伝いができれば幸いです。

楽しんでいきましょう!

次:リトミック指導案の作り方 その1 【スムーズな活動にするための全体構成の仕方】

リトミック指導案作成に役立つ本

おすすめ本 詳細
リトミック教育のための原理と指針 ダルクローズのリトミック
リトミックの理論やアプローチ方などわかりやすく解説された名著です!
リトミック論文集 リズムと音楽と教育 エミールジャック=ダルクローズ
ダルクローズの論文集。難解な本ですが、読めば読むほど彼の想いや意図が身に染みます。
子供を動かす法則 (教育新書 41)
リトミックの本ではありませんが、子どもに教えるために必要な技術が網羅されています。リトミック指導者こそ読んでおくべき必読書。

Filed Under: リトミックの指導案 関連タグ:リトミック, 指導案, 指導案の作り方

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